製菓・製パン業界で使える業務用釜の事例
生クリームやカスタード、餡などの調理や加工を行う製菓・製パン業界。調理において繊細さが求められる一方、製造効率を高めるためには大量調理が欠かせません。業務用釜・撹拌機は、調理時の細かな温度調整などが可能で、かつ一度に大量の調理に対応できる調理機器です。
このページでは、製菓・製パン業界での調理用釜の導入事例や、釜の選び方について解説しています。おすすめの製品も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
製菓・製パン業界にはどんな釜が必要?
製菓・製パン業界は、他の業界とは違った視点で業務用釜を選ぶ必要があります。特に意識しておきたいのは、調理において繊細な調整が求められる点です。
製菓・製パン業界は、他の業界よりも生クリームやカスタード、お菓子の生地などの調理が多くなっています。これらは、調理時の温度や撹拌方法によって味や食感が大きく変わります。そのため、工場の気温や材料の割合などに合わせて微細な調整が求められます。
繊細な調理が多いことから、温度調整・撹拌方法を細かく調整できる釜や撹拌機が好まれています。釜を選ぶ際は、温度調整可能な範囲や撹拌メニューの種類をしっかりチェックしておきましょう。
製菓・製パン業界の導入事例
当サイトで紹介しているメーカーの中から、製菓・製パン業界で使える釜・撹拌機のレシピ動画や導入実績を公式HPに掲載している企業を紹介します。製菓・製パン業界で回転釜の導入を検討している場合は、参考にしてください。
服部工業株式会社(ヴェスタHEK-VP)
製品の詳細
| 製品名 | ヴェスタHEK-VP |
|---|---|
| 品番 | HEK-VP40・60・80・100・150・200・300 |
| 寸法 | 幅:1,044〜1,360mm、奥:957〜1,218mm、高:1,576〜2,110mm |
| 熱源 | 電気 |
| 容量 | 40〜300L |
| 用途 | ジャム、ソース、クリーム、あんこ、お湯沸かしなど |
参照元:服部工業公式HP(https://www.hattorikogyo.com/product_search/jidotairyochori/item_2)
製品の特徴
幅広い調理に対応した業務用釜です。ジャムやソース、クリームなどの調理が可能なため、製菓・製パン業界に適しています。熱源は電気を利用しており、タッチパネル操作で細かく温度・時間をコントロール可能です。また、安全装置が搭載されているほか、HACCPにも対応しています。
撹拌プログラムは標準で9個搭載されており、調理に合わせて追加することも可能です。温度や時間などの調理データは自動で記録され、USBに保存されます。調理データを保存しておけば、今後の製品づくりや品質維持にも役立つでしょう。
中井機械工業株式会社(ホットミックス)
製品の詳細
| 製品名 | ホットミックス |
|---|---|
| 品番 | THM-30・60・100 |
| 寸法 | 幅:710~1,070mm、奥:772~1,190、高:1,480~1,930mm |
| 熱源 | 電気 |
| 容量 | 30~100L |
| 用途 | ケーキ、カステラ、ジャム、シュークリーム生地など |
参照元:中井機械工業公式HP(https://www.nkm.co.jp/labo/14269/)
製品の特徴
IH式の加熱機能を搭載した自動撹拌機です。大きさが異なるホッパーが2つ搭載されており、鍋全体をミキシングして仕上がりのムラを抑制できます。ワイヤレスの温度センターが搭載されているため、ケーキやジャムなど、幅広い調理に対応しているのも特徴。
操作はタッチパネルで、さまざまなアイテム・工程を登録できます。もちろん細かな火力やスピード調整も可能です。いたずら防止のためのパスワード保護機能も搭載されています。中井機械工業の登録商標であるホイップセンサーにより、生クリームやスポンジ生地は、独自の数字で制御し、泡立ち具合まで自動で調整することが可能です。
内釜は錆びにくく、お手入れしやすいステンレスを採用。30~100Lまで複数のモデルをラインナップしており、製菓・製パンの製造数や工場の規模に応じて選べます。
製造品目に合った業務用釜の選び方
製菓・製パン業界と一口に言っても、製造する品目は多岐にわたります。それぞれの品目によって食材の性質や粘度、熱に対する感度が大きく異なるため、導入する業務用釜に求められる機能も変わってきます。代表的な製造品目ごとに最適な業務用釜の選び方と、その活用ポイントを詳しく解説します。
カスタードクリーム・生クリーム類の製造
カスタードクリームや各種クリーム類は、熱によって非常に焦げ付きやすいという特徴を持っています。そのため、1℃単位での精密な温度制御が可能なセンサー機能が不可欠です。さらに、鍋の底面や側面に隙間なく密着して回転する特殊なスクレーパー(撹拌羽根)を備えた機種を選ぶことが重要です。焦げ付きを物理的に防ぎながら均一に混ぜ合わせることで、ダマのない滑らかな口当たりを実現できます。
シュー生地・スポンジ生地・カステラ生地の製造
生地作りにおいては、小麦粉などの粉類と水分を素早く均一に混ぜ合わせる力強いミキシング機能が求められます。また、加熱しながら撹拌する工程では、釜全体にムラなく熱を伝えるための高い熱効率が重要となります。IH加熱方式やスチーム加熱方式を採用した業務用釜であれば、底面だけでなく側面からも包み込むように加熱することができ、生地の膨らみや焼き上がりの品質を均一に保つことが可能です。
フルーツジャム・コンポートの製造
果物を使用したジャムやコンポートを作る際、最も重視されるのは「果肉の形や食感をどこまで残すか」という点です。激しい撹拌では果肉が崩れてしまい、商品価値が下がってしまう恐れがあります。そのため、インバーター制御によって撹拌スピードを極低速から高速まで無段階に微調整できる機能を持つ釜が適しています。ゆっくりとした優しい撹拌を行うことで、フルーツ本来のごろっとした食感と風味を損なうことなく、高品質なジャムを煮詰めることができます。
餡(あんこ)・フィリング類の製造
和菓子やアンパンなどに欠かせない餡や、カレーパンの具材などの高粘度なフィリング類の製造には、何よりも機械の「パワー」が求められます。水分が飛んで粘り気が強くなるにつれて、撹拌羽根には大きな負荷がかかります。モーターの出力が弱いと回転が止まってしまったり、故障の原因になったりするため、高粘度対応の強力なモーターを搭載した機種や、トルクの強い撹拌機構を持つ大型の回転釜を選ぶことが成功の鍵となります。
業務用釜におけるHACCP対応と衛生管理
製菓・製パン業界では、卵、生クリーム、バターなどの乳製品を日常的に大量に使用します。これらの食材は温度変化に敏感で、少しの管理の甘さが菌の繁殖や食中毒の発生に直結しやすいため、他の食品加工現場以上に徹底した衛生管理が求められます。HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理が義務化された現代において、業務用釜選びでも「衛生管理のしやすさ」と「記録の正確さ」は外せないポイントです。
HACCP対応を強力にサポートする自動記録・データ出力機能
HACCPに基づく衛生管理では、「どのメニューを、何度で、何分間加熱したか」といった重要管理点(CCP)を正確に記録し、保管することが求められます。手作業での温度計測や手書きの記録は、スタッフの負担が大きいだけでなく、ヒューマンエラーや記録漏れのリスクが伴います。最新のHACCP対応業務用釜の多くは、調理中の釜内の温度や加熱時間を自動で計測・記録するデータロギング機能を搭載しています。記録されたデータはUSBメモリなどを経由してパソコンに簡単に取り込むことができ、日々の衛生管理記録の手間を劇的に削減します。これにより、万が一のトラブル時にも速やかに製造工程を振り返ることが可能なトレーサビリティの確保に繋がります。
菌の温床を作らない徹底したサニタリー設計
業務用釜におけるもう一つの重要な要素が、清掃のしやすさ、すなわち「サニタリー設計」です。どれほど高性能な釜であっても、細部に汚れが溜まりやすい構造では意味がありません。特に、撹拌羽根の根元や軸の周辺、パッキンの隙間などは、食材のカスが残りやすく、菌の温床になりやすい危険な箇所です。そのため、軸周辺に段差や隙間がないフラットな構造を採用している釜や、工具を使わずに撹拌羽根などの部品を簡単に分解・水洗いできる構造のものが強く推奨されます。さらに、内釜の素材自体も、汚れがこびりつきにくく錆に強い高品質なステンレス材を使用しているかどうかが重要です。
洗浄作業の負担軽減がもたらすメリット
大型の業務用釜の洗浄は、現場のスタッフにとって重労働の一つです。汚れが落ちやすく洗いやすい釜を導入することは、単に衛生状態を良好に保つだけでなく、閉店後の清掃作業にかかる時間を短縮し、従業員の肉体的な疲労を軽減するという労務管理上の大きなメリットも生み出します。衛生的な環境は、美味しいお菓子やパンを作り続けるための最大の土台であり、それを支える設計が施された業務用釜を選ぶことは、企業ブランドを守るための重要な投資と言えるでしょう。
編集チームのまとめ
製菓・製パン業界で業務用釜を導入するなら、温度や撹拌スピードを細かく調整できる製品を選びましょう。製品によっては、温度や時間などのデータを任意に登録が可能です。データを登録しておけば、作業のたびに温度・時間を調整する手間を省くことができます。
自社にどのような業務用釜が必要か悩んだら、業務用釜メーカーへ相談することをおすすめします。現状の課題や要望を伝え、自社に合った提案をしてもらいましょう。
業務用釜メーカー選びでは、テスト調理とアフターサービスに対応しているメーカーを選ぶことが、とても大切です。当サイトで紹介している業務用釜メーカー全25社の中から、テスト調理・アフターサービスに対応している釜メーカーを目的別で紹介しています。業務用釜の導入を検討しているのであれば、自社の目的に合わせて業務用釜メーカーを選びましょう。